心身ともにアクティブ!アメリカの多様なシニアライフ

「アメリカのシニアライフ」と聞いて何を思い浮かべますか? 米保健福祉省の調査によると、2013年の65歳以上の国民人口は4470万人。10年前に比べ24.7%(880万人)増加しています。2060年にこの数はさらに2倍になり9800万人に達すると想定されています。

多種多様なバックグラウンドを持つ人たちから成り立つアメリカでは、シニアライフもひとそれぞれさまざまです。ここでは、一般的に「リタイアメントハウス」と呼ばれるシニアのコミュニティでの生活、シニアに特化した大学のコースについてご紹介します。

リタイアメントハウスの多様なサービスとアクティビティ

「アメリカのリタイアメントライフ」と聞いて、郊外や自然に囲まれたセカンドハウスに済み、のんびり趣味のアウトドアを満喫したり、ビーチで過ごしたりして悠々自適な生活……と思う浮かべる方もいらっしゃることでしょう。

そうしたリタイアメントライフを過ごす富裕層のシニアも存在しますが、もう少し一般的なシニアの方々の生活はどういったものなのでしょうか?
在職時に老後の生活のために十分な貯蓄を確保しているシニアに人気なのは、仕事や子供が自立するまで住んできた家を出て、いわゆる「リタイアメントハウス」「アクティブ・アダルト・コミュニティー」と呼ばれる集合住宅で送る生活です。

こうした住宅は不動産会社が比較的家の手入れをしなくても済むように設計し、自立した55歳以上の男女を対象に入居者を募ります。ここで言う「自立した」の意味することは、日常生活を送る上で食事、家事、それにパーソナルケアなどを他人の助けを借りずにできること。

以前はこうしたコミュニティは概して郊外や都会から離れたいわゆる「田舎」に設けられることが一般的でした。しかし、近年になって変化の兆しがみられます。新規に建設されるコミュニティは、より都市部にアクセスしやすい地域に集まる傾向は強まっているのです。これはシニアの人々を表すもうひとつの言葉として、「アクティブ・アダルト」がひんぱんに使われ始めた証左ではないでしょうか。

コミュニティーハウスでは、絵画、陶芸、映画の上映会、アフタヌーンティー、ホリデーイベントにちなんだ料理教室など室内の活動から、ゴルフ、水泳、自転車、ウォーキング、ジョギング、ダンス、ピラティス、ヨガなどのエクササイズなどの幅広い種類のプログラムを積極的にサポートしています。アメリカのシニア世代には、望めば選択できる、心身(マインド・アンド・ボディ)ともに「アクティブ」な状態を維持できる環境が整えられているといえるでしょう。

「生涯教育」を実践するシニア向け大学コース

「学校に戻りたい。学生のころのように興味のあることを勉強して、新しい友人に出会いたい」と思ったことはありませんか? 退職後に時間と心理的な余裕ができたら、そのような機会があればよいと思いませんか?

ウィスコンシン大学マディソン校はシニア世代のこういった希望を叶えるために、特化したコースを提供しています。その名も「シニア・ラーニング・プログラム」。
このプログラムは50歳以上の男女を対象に生涯教育を行っています。さらに、60歳以上のウィスコンシン州の住民にはインストラクターの許可の下、無料で好きなだけクラスの聴講が可能。また、普通の学生と同様に同世代のクラスメートたちと研修旅行やバス旅行も企画されており、「第2の学生時代」を謳歌できるのです。

「アメリカのシニアライフ」とひと言でいってもさまざまな形態があります。
どのシニアにも一般的に共通していえるのは、「加齢を人間の自然な過程と受け入れてどの段階もできる限り楽しくアクティブに過ごそう!」というポジティブな姿勢のように感じます。そうした風土がシニア向けの多様なサービスの提供につながっているのではないでしょうか。

参考:

SeniorHomes.com

Senior Trends for 2015: Trends in the Senior Care Industry

University of Wisconsin-Madison Continuing Studies

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