今から始めるおとなのジャズ鑑賞

ジャズ鑑賞と聞くと、おしゃれな大人のイメージがあり「自分にはちょっと難しいかも」と感じている人もいるのでは。確かに、ジャズには様々なジャンルがありますが、それらをきちんと学ばなければ楽しめないというものではありません。
本来ジャズとは、自分の感性を大切にし、自由に音楽を楽しむというスタイルのもの。ジャズに興味がある、もしくはこれからジャズ鑑賞を始めてみたいと思っている方に向けて、今回はジャズの魅力や代表的なジャンル、ライブでの鑑賞マナーなどをご紹介していきます。

ジャズの魅力は?

ジャズは、プレイヤーが持ちかける誘導に対してほかのプレイヤーがアドリブで応えるという音楽の掛け合いが一番の見所であり、聞き所です。聴く側も演奏する側も、自由で本能的に音楽を楽しめるのが、ジャズの一番の魅力ではないでしょうか。ライブハウスへ出かけて、その場の空気を体感するのもよし、自宅でゆったりとくつろぎながら、名盤を聴くのもよし。聴く場所や方法にこだわらず、生活のなかに気軽に取り入れ、自由に楽しめるのもジャズの魅力の一つです。

ジャズの代表的なジャンルは?

ジャズには、さまざまなジャンルがあることはすでにご存知かもしれません。ジャズの代表的なジャンルには、次のものがあります。

  • ニューオーリンズジャズ
    20世紀初頭の頃に生まれたジャズのことを指し、すべてのジャズがこのニューオーリンズジャズを原点につくられています。
  • ディキシーランドジャズ
    ニューオーリンズジャズと同時期に誕生したジャズですが、「白人」が模倣したジャズとして知られています。
  • アーリージャズ
    ニューオーリンズジャズとディキシーランドジャズ、二つの「創世記のジャズ」を総称する言葉です。初期のころのジャズのことをひっくるめてアーリージャズといいます。
  • スイングジャズ
    1930年代に盛んになった、ビッグバンドによるダンスミュージックとしてのジャズのことです。
  • オールドジャズ
    モダンジャズよりも前に生まれたジャズのすべてを指す言葉です。初期のジャズから、モダンジャズまでに生まれたジャズのことを表しています。
  • モダンジャズ
    オールドジャズの対義語であり、ビバップ以降のすべてのジャズのことを指します。
  • ビバップ
    ビバップとは、40年代に流行った演奏法のことで、コードをなぞるようなアドリブや、ふり幅の大きいフレージングなどが特徴です。ビバップの誕生はジャズ界にとって革命的な変化だと言われています。
  • クールジャズ
    40年代に流行ったジャズのことで、クールで知的な雰囲気を醸し出すジャズのことをこのように呼んでいたようです。
  • ウエストコーストジャズ
    50年代前半にアメリカ西海岸の白人を中心に流行ったジャズのことです。クールジャズの影響を受けており、演奏の雰囲気は似ているようです。
  • ハードバップ
    50年代に流行った演奏法のことで、ビバップにアンサンブルやヘッドアレンジ、長いソロなどが加えられたスタイルのことです。
  • ジャズロック
    ジャズロックは、60年代にロックの手法を取り入れて演奏されたジャズのことです。
  • ニュージャズ
    50年代から60年代にかけて、それまでのジャズを古いジャズとして捉え、新たな動向を目指して生まれたジャズのことです。

ジャズは、年代によって流行りの演奏法やスタイルがあります。その時代に活躍した人たちが、自分たちの納得いくジャズを求め続けた結果、このようにいくつものジャンルのジャズが生まれたものだといえるのかもしれません。

ジャズ鑑賞時のマナーは?

ジャズ鑑賞の方法の一つとして、ライブハウスで鑑賞するという方法があります。これまでジャズライブへ出かけたことがない方は、ジャズ鑑賞のマナーを覚えておき、演奏者やほかの観客の迷惑にならないように気をつけましょう。基本的なマナーとしては、演奏中の出入りは控え、携帯電話の着信音、マナーモードのバイブ音が鳴らないように電源をオフにしておきましょう。また、写真撮影もご法度です。拍手のタイミングは、演奏直後に行うのではなく、演奏の余韻を楽しんでからにしましょう。

自宅鑑賞におすすめのジャズ名盤

最後に、自宅でジャズ鑑賞をする際のおすすめの名盤をご紹介します。

  • ワルツ・フォー・デビィ+4
    ピアノの詩人ビル・エヴァンスが残したモダンジャズの人気作で、優しくロマッチックなメロディが特徴。
  • Kind of Blue
    ハードバップ全盛期、マイルス・ディヴィスが煮詰まった音楽の一新をはかるべく、ジャズの演奏原理に「モード」と呼ばれる新しい理念を導入して生み出した。その時に作られたアルバムがこちらです。
  • Come Away With Me
    ノラ・ジョーンズのデビュー・アルバム。いきなり、グラミー賞を8部門で独占。50年代のジャズをベースにしたムーディーなサウンドで作られたアルバム。

いかがでしたか? 洗練された大人の趣味のようなイメージがあるジャズ鑑賞ですが、もともと素直な感性で音楽を楽しみたい人たちが生み出したものですから、難しく捉える必要はありません。実際に聞いて、自分の耳にとって心地の良いものを選び、そこから聴き始めるという方法もいいですよね。

参考:

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